GODOX AD200とProfoto B10の違い
年の瀬ですね。
いつか書こうと思っていたネタがそのままになっているのがいくつも有って、、、そのまま時代も変わってしまい、陳腐化してしまい、お蔵入り、と言うことが良くあります。
今回のこのネタも結構前に仕込んでおいたモノです。
なぜGODOXをやめてプロフォトに一元化したのか?
もともとはコメットストロボでロケもスタジオもこなしていました。その後、Profoto D1にすべてを変えて、最近では再びコメットのストロボをスタジオ用に中古を買い足している、というのが2019年でした。
今年の初めGODOX AD200が気になりました。クリップオンストロボのV850は4台も持っていたので、もう少しちゃんとしたヤツ、という意味で。GODOX AD200はフリーカメラマンから絶大の支持を受けているストロボです。僕もそれを知って購入した経緯です。
が、使えば使うほど、どうもしっくりこない感が拭えなくなって、、、、
スタジオもロケも同じストロボでいけるというのは確かに便利です。でもどちらも中途半端になりがちで、二兎を追う者は一兎をも得ず、の例えになりがちです。
Profotoで当初はそれを実現しようとしました。Profotoの決定的な欠点は、、、
価格の高さです。
これは本体価格だけでなく、修理したときの修理代金も国産とは比較にならないくらい高い。だから、僕はそのためにスタジオ用にコメットを戻したのです。モデル撮りでも物撮りでもそれほどシビアな状況ではないとき、コストパフォーマンスの優れるコメットは持っていても損はないストロボです。
GODOXは別の意味でのコストパフォーマンスが優れています。なんと言っても本体価格が安い。他社とは比較ならないくらいに安いです。だから僕はクリップオンストロボのV850を4台も持っているのです。壊れたときにはそのまま捨てるというフローのために。Amazonの平行モノですから、修理は難しいと予測してのやり方です。
値段が安いのでGODOXを使ってはみたものの、、使えば使うほど気になることが大きくなりました。一時はロケ用はすべてGODOXにするつもりでしたが、、、
一番の気になった点は色の問題です。
GODOXで人物取材をすることが多かったのですが、どうも肌色が良くない。ロケ、取材現場なのでその場の光の影響、蛍光灯だったり、LEDだったり、窓際、外の天気の影響、、、、などなど、状況がすべて違うので、ストロボが原因、とは100%言い切れないのです。
が、GODOXの代わりにProfoto B2を持っていったときには色の違和感を感じることが少ないので、これはストロボかな?と思うに至りました。
「ストロボの色?、どうせRAWで撮影しているんだから、あとで好きな色に調整すれば良いじゃん」、と僕も思っていました。
が、肌色だけを調整は出来ません。他の部分もその影響を受けます。もちろんマスクを切って肌色だけの調整は可能ですが、取材モノで100カットもある写真すべてでそんな事出来るわけもなく。それは可能だけど、実現性が低いという意味で出来ない、と僕は言います。
この話をいろいろな人にするのですが、同意を得られません。それもそのはず、GODOXと他のストロボを両方持っている人は少ないんですね。GODOXとクリップオンストロボ、例えばニッシンとかメーカー純正とかを併用している人はいますが。
そんな中でもGODOXについてネガティブな評価を持っているフォトグラファーも少数ですが居ました。
GODOXと他のストロボを定量的に比較することが出来ません。セコニックの新しいカラーメーターでもあれば多少分かるかもしれませんが、このためだけには買えないので。そこで手持ちの昔からのミノルタのカラーメーターで測ってみました。
- AD200 標準角形ヘッド 4710k 03G
- AD200 丸形ヘッド 4850k 08G
- Profoto B10 5410k 11G
なるほど、色温度とマゼンタグリーン方向がメーカーによって違っているのが分かります。
その点を頭に入れながらテスト撮影を見てみましょう。
AD200 標準角形ヘッド 4710k 03G
AD200 丸形ヘッド 4850k 08G
AD200 ベアバルブヘッド
Profoto B10 5410k 11G
撮影はソニーα9 レンズ16〜35mm/4.0で絞り22です。16ミリ、絞り22に固定で同じ位置からストロボを変えて撮影しています。撮影はカメラ内のJPEGです。ホワイトバランスは太陽光。絞り22になるようにストロボの光量を変えて撮りました。
明るさの違いが出るのは22の絞りまで最大光量でも達しない場合はそのまま撮っています。AD200 丸形ヘッドが暗いのはフルパワーにしてもそこまでの明るさにはならなかったのです。
まず光の色。
Profotoは色温度が青く、そして、マゼンタ方向に寄っています。
これにより、そのままでぱっと見スッキリ見える感覚があります。特に人の肌ではマゼンタ方向の光の方が発色が良く感じます。なぜなら、肌色にはマゼンタ色が入っているからですね。
GODOXは比較的アンバー方向弱いグリーン方向に寄っているのが分かります。
そして注目すべき点は色もそうなんですが、光の回り具合。撮影は僕のスタジオで、あえて天井の低い部分で撮影しています。
同じ場所からストロボを発光しているのに、天井の明るさが違います。同様にチャート付近の明るさのホットスポットが違います。
AD200の標準角形ヘッドは光を効率的にフレネルレンズで集光しているので、光がビーム状に照射されています。これはクリップオンストロボの特徴です。見た目の光量が大きい方がセールスバリューがあるので、同じ出力でもレンズを使って光を集めるという手法をとっているからです。
B10はストロボ単体での光量を重視するよりも光をコントロールしやすいようになっています。オカマと呼ばれるアダプターを付けることによって、集光させることも散光させることも可能なのです。
AD200も同じように丸形ヘッドを付ければ多少なりとも、光が散るのですが、ご覧のようにその散光具合は弱く、しかもパワーを食います。それは暗く写っているので分かります。
ストロボライティングはそのまま直の堅い光をいかにデフューズするか?に掛かっています。
AD200 標準角形ヘッドのような配光だと、そこから柔らかい光にするのは難しいというのが分かるでしょう。
また、B10のように光が散っていると天井など、その部屋の壁などに光が漏れて反射してくる、というのも想像出来ます。それは何を意味するかというと、ストロボ光と地明かりの間を埋める、ということになるのです。
最初に書いたようにGODOXだけの光で撮影する分にはRAWデータから色を調整していくことはそれほど難しいことはないでしょう。が、地明かり、窓からの外光、天井の照明、、などなど、現場の光との差があるとその調整は難しくなります。モデルの肌色をキレイに出したい、となると余計に手間取ることになります。
以上のことから、色と光の回り方の違いからGODOXをやめることにしました。
で、初めに戻りますが、、、
Profotoのデメリットは高いことですが、、、
これはもう僕もあと何年、カメラマンをやっているか?と考える歳になったというのが大きいです。
たぶん10年くらいじゃないでしょうか?今は58歳ですからね。
それと考えると、今さら満足のいかない機材で仕事をしていって、ケチケチ節約していったからと言って、なんになるのか?という思いですね。あと10年なら思い残すことなく、好きなモノで仕事をしていく方が、死ぬときに思い残すこともないでしょう。
値段が高い、といっても買えないほど高いワケじゃない。
ということで、2019年を締めくくるお話しでした。
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