« 最近のお仕事 グッズプレス2019/09号 | トップページ | ラクだ! スマートEX »

2019.07.20

ソニーα7RⅣの発表

いろいろな事件があったここ数日ですが、無難な話題として、カメラの話。

ソニーから新しいカメラが出ます。

ウワサ系サイトではいろいろな憶測が出ていましたけど、結局はRの新型。

で、話題なのは画素数で、、、

6100万画素 !

ついに6000万画素が35ミリフォーマットカメラに入ってくるようになった、と言うことでかなりの話題になりました。

この6000万画素、中判デジタルではちょっと前まではスタンダードな画素数でした。

撮像素子がCCDの時代、2000,4000,6000と増えていって、最終的には僕が使っている8000万画素までCCDのバックタイプは発展していきました。

CCDの場合、大型の面積のものを作るのが非常に困難で、僕の使っている8000万画素モデルでは8枚くらいを貼り合わせていると言う話も聞いたことがあります。当然、つなぎ目があるので、そこを両方の画素から推測値を持ってきてなじませるようなことで違和感の無い1枚の写真を作ります。

ソニーは撮像素子のメーカーとしても大きく、世界シェアは50%を超えているというニュースもあります。ソニーが作ったCMOS型撮像素子が大きな面積でも作られるようになって、カメラ業界は一変しました。

中判デジタルでまず5000万画素の44×33ミリのモデルが出て、その数年後、36×48ミリで1億画素のモデルが出ました。

今年、中判デジタルで最高画素のモデルが出て、1億5000万画素。これは36×48ミリフォーマットです。

同じく今年、フジからGFX100という1億画素のモデルが発売されました。これもソニーの撮像素子を使っています。GFX100は中判デジタルでも小さいフォーマットで44×33ミリです。

そしてソニーからソニーα7RⅣの発表。

6000万画素にはワケがあります。

今年発売された上に上げた3機種、それぞれの撮像素子スペックを割り算してみます。

Phase One 150MP

14,204×10,652

53.4×40mm

GFX100

11648 × 8736

43.8mm×32.9mm

α7R IV

9504×6336

35.7 × 23.8 mm

 

面積を画素数で割ります。

そうすると1画素あたりの面積が出ます。

Phase One 150MP

70833.8052434457

GFX100

70614.5147187409

α7R IV

70872.2830308594

 

見事にほぼ同じ。

CMOSセンサーが和紙みたいに出来るとは思っていませんが、大型の面積のものをいくつかのサイズに切り出していけば、同じCMOSセンサーで数種類のカメラに使えるものが出来る、と言うことになります。

自動車の作り方が同じようにスケーラブルシャーシになっていますが、まさにスケーラブルセンサー。

非常に効率的でソニーらしい方法だと思います。

 

もう一つ面白いことが、、

α7R IVが発表されて、欲しい、と言う人と、ここまでは要らないな、と言う人の2種類に分かれました。

画素数が多すぎるんですよね。

つまりはこんなに巨大な画像データが常には必要ではない。特にプロカメラマンからはそういう意見を言う人が目立ちました。

仕事として依頼される写真で、6000万画素が必要な人はそれほど多くは居ません。

僕のような物撮りカメラマンでも、その中でも特殊な人だけです。

ほとんどは3000万画素程度もあれば十分なのです。

だから、プロカメラマンの方が、自分の仕事に使えるかどうか?見てしまうので、ここまでは要らないという感想を持ちます。

 

さて、また話が変わります。

以前こちらでも書きましたが、Phase One 150MPが出たとき、それの国内発表会に行ったときの話です。

デモをしていたフォトグラファーは博報堂の写真部の方だと記憶していますが、その方がデモをしながら言ったこと、、、

「モデルを撮るときでも横位置で撮っています。」

この言葉が非常に印象的でした。

モデル撮影は基本、縦位置で撮りますよね。当たり前です。

が、なぜ、このような発言になったのでしょうか?

これは博報堂の写真部という環境が大きいと推測しています。

クライアントから要求されるのは

「縦でも横でも使える写真」

なのです。

つまり、トリミング耐性のある画像データを求められているのです。モデルを縦位置で撮ってしまうと、横位置で使いたいときには合成しないとなりません。もちろん、広告なので、合成するのはほぼ100%なのですが、素材としての写真で横位置まであるのだったら、それが最善なのです。

1億5000万画素あれば、モデルを横位置で真ん中に撮っていても、あとからのトリミングで縦位置はもちろん、半身アップ、横位置でバナー広告、縦位置でサイネージ広告や、等身大POPまで、ほとんどカバー出来ます。

 

下の写真を見てみましょう。

Vignetteffmf

Phase Oneのサイトから借りました。

これは1億5000万画素のデジタルバックがどれだけ広いか?という見本になっているのですが、上に書いたように、実は1億5000万画素あれば、35フォーマットでトリミングするとこのくらいの自由度がある、という図にも解釈出来るのです。

そして、最初に書いた1画素あたりの面積、それがPhase One150MP,GFX100,α7R-4とすべて同じなので、Phase One150MPで撮った画像はズタズタに切られて使われても、α7R-4と同じだ、と言うことになります。

1億5000万画素はスゴいな〜

と言うのが今日の本題ではありません。

これと同じことが今度のソニーα7R-4で起きます。

つまりはトリミング耐性が今までよりも数段あるということ。

プロにとって、これは非常にありがたいことです。

今までのようにズームで寄って、ぴちぴちに撮ることはなくなります。あとでいかようにでもトリミング出来ますから。

縦位置で撮った写真をデザイナーが 横位置に切ったとしても、全然OKです。

7R-4 が出ることによって、写真が変わるでしょう。先の博報堂のフォトグラファーのように横位置で被写体を真ん中に撮っておいて、あとからいかような画角にでも変える、という方法論が主流になります。

これはα9が出て動体の一瞬を狙う、一撃必中のカメラマンが必要なくなったように、今度はフレーミングというフォトグラファーに残された特権をソニーは変える気です。

それをどうこう言っても、もう、そういう時代に入ってきたのです。

ソニーαは写真を民主化した。

今までプロだけが独占してきた数々のものがそうでなくなります。

|

« 最近のお仕事 グッズプレス2019/09号 | トップページ | ラクだ! スマートEX »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。