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2017.06.23

ソニーα7,α9でのテザー撮影の盲点

先日の撮影で、久しぶりにアパレルの置き撮りをしました。

アパレルの置き撮り、と聞いてすぐにそのセットが想像できる人はプロカメラマンですね。しかも、雑誌、広告系の。

アパレルの置き撮りとは、床に服を置いてその上にカメラを設置して撮る撮影方法です。

以前は雑誌の仕事が多かったので、僕もその置き撮りの比率は結構ありました。フィルム時代とデジタル時代で決定的に楽になった撮影方法の1つで、俯瞰撮影を遠隔操作できるのです。

それまでは大きな脚立にカメラマンが乗って、下のアシスタントや編集者、スタイリストに指示してしわを伸ばしての撮影だったのですが、今はカメラは手の届かないような場所にセットしても、USBケーブルで繋がったPCからライブビューでPC画面に撮影物が映されて、それを元に修正していくので、完成度も高くそして撮影時間も短くなりました。

そんな仕事も最近しなくなったのですが、今週、久しぶりにそういう仕事が来ました。

早速お気に入りのα9をカンボのスタジオスタンドにセットしてめいっぱい高さを上げます。

フレーミングを合わせて、服のしわをキレイに伸ばして、さて、撮影。

AFでのピントが合いません。

これ、よくあることで、AFポイントのあるところにちょうど服がないとか、無地だったりで、AF不能の時がままあります。カメラマンの手元にカメラがあるのなら自分でポイントを動かしてコントラストの有る部分にAFポイントを持ってくればAF出来ますが、この時は俯瞰撮影。カメラは天井近くにセットされていて、PCからそれを変更することは出来ません。

ならば、MFにして、、、

と思ってしまうところですが、MFにしたらPCからピントを合わせること出来ないので、カメラに直接触れてヘリコイドを手で回すことになります。

「まさか・・・」

キヤノンユーザーの人はそう思うでしょう。

そう、キヤノンならPCからピント調整が出来るのです。しかも、ライブビューでPC画面を拡大して本当に微調整まで。しかも、AFモードのままです。

これがα9でのライブビューでPC画面 C1を使っています。
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赤で拡大した部分がカメラフォーカスツールです。このようにAFのボタンしか有りません。

しかも、α9のテザー撮影での最大の問題点、、、なんと、このライブビュー、100%拡大が出来ない。。。つまり、ピントが合っているかどうかの確認は撮影した画像を拡大するしか有りません。


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これがα7R IIのライブビューでPC画面。同じようにAFボタンしか有りません。

同様にC1ではライブビューでPC画面で100%拡大が出来ません。


そして、キヤノン。

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カメラは7Dmk2を使いましたが、このようにAFのボタンとその横にフォーカスを動かせるボタンがついています。
AFが不能の時にはここからダイレクトにフォーカスを動かして手動ピントが出来ます。


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当然のようにライブビューでPC画面を100%拡大出来ます。
カメラでのAFだと望みのところにピントが来ない、または思ったよりもシャープではない時は、ここからマニュアルフォーカスして来させることが出来ます。


170622_0005

これがAFで合焦させた後に100%拡大したもの。微妙にシャープ感がないですよね。

そこからマニュアルでピント位置を動かします。


170622_0003


これがマニュアルでピントを合わせたところ。
このくらいのシビアさが必要なときは本当に便利な機能です。

しかも、キヤノンの良いところはライブビューをレンズの絞り開放でやっているという点。これはあるようでないんですね。テザー撮影ではC1がプロの間ではもっとも定番と言えるアプリケーションですが、C1で本家のPhase Oneデジタルバック、カメラは最新のXFを使っても、絞りは撮影絞りでのライブビューになります。つまり、このテストの場合ではF14でピントを合わせることになります。

僕の場合、ピントを合わせる際にPhase Oneデジタルバックを使うときはわざわざレンズ絞りを開放にしてからライブビューにしてピントを合わせます。非常に面倒です。

キヤノンのカメラでなぜこのようなことが出来るのか?

理由は、キヤノン純正のアプリケーションでもAFとMFが出来るような仕様になっているからです。

カメラ単体でこの機能を持っていないとサードパーティー製のアプリケーションであるC1でマニュアルフォーカスをアプリから出来るなんてことは不可能です。

キヤノンからソニーに移行したい、と夢を見る人も多い昨今ですが、実はこんなところに落とし穴があって、いざ使ってみたら使い物にならない、ということが有ります。

特にテザー撮影ではキヤノンはPhase Oneデジタルバックと同等か、それ以上の出来になっていると思います。しかも、キヤノン純正アプリケーション以外のC1を使ってもここまで使えるのは他のメーカーではあり得ない。

キヤノンのすごいところはこういう機能が安い7Dmk2でも出来るし、フラッグシップの1DXmk2でも出来ると言うことです。7Dmk2なんか10万ちょっとで買えるカメラですからね。ホント、コスパ高いです。

さて、戻ってソニーαのテザー撮影で、更に問題点。

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テザー撮影でPCからAFを行った後、PCからシャッターを切るとピントが合いません。

は??

何言ってるのか分かりませんよね。。。。

僕もこの現象がなぜ起こるのか、どうやったら再現できるのか?よく分からないのです。絶対ピントが合わない、ということでもなく、かと言って100%ピントが合うわけでもありません。

カメラの設定、例えば親指AFにしているせいかもしれません。デフォルト設定でのテスト撮影をしていませんから。デフォルト設定だと、たぶんですが、PCからシャッターを押すと、AFしてから合焦してシャッターが切れることになるので、問題が起きにくいと想像しています。

この問題があるおかげで、ソニーα系はカメラ側でピント合わせ、シャッターを切る、という操作が必須となってます。

この辺り、カメラの思想に寄るのではないか?と想像しています。テザー撮影はあくまでもフォトグラファーがカメラを持っている前提だという感じですね。カメラを持っていないところからのコントロールを考えていないと想像しています。

ソニーはこのテザー撮影の問題をどう解決してくるか?どのくらいの時間が掛かるか?注目していきたいですね。

ということで今回は久しぶりに長くなりましたが、、、この辺で。