フォーカススタックとアオリレンズの比較 その3
続きです。
その2の最後でFlickrに上げた100%画像を見れば分かりますが、今回のフォーカススタックでの合成画像は失敗例です。
ナイフの最前面から最後面までf7.1で9カット撮影したものを合成したのですが、マクロレンズ120ミリでこのくらいの商品を絞り7.1程度では被写界深度に入っている部分が少なすぎます。
結果、仕上がりはピンぼけの部分を含んだ合成画像になりました。
すべてピントが合った写真を求めるなら、フォーカススタックを使った場合、もっと細かいレンジで今の倍くらいのカットを撮って合成しないとダメでしょう。
なぜダメな画像を出したか?と言うと、、、
結局、ヘリコンフォーカスで合成してみないと、すべての部分がピントが合った写真になるかどうか?分からないというのがこの方法のデメリットなのです。
クライアント立ち会いの撮影で、何枚もシャッターを切って、その後にPCでゴニョゴニョやっているカメラマン・・・クライアントは素人ですから、不安になりますよね。また、クライアントチェックを受ける際に、合成後のカットで細部の微調整を指示されたら、また最初から合成用カットの数枚シャッターを切るところからになります。
これはあまりに効率が悪い。
これはティルトアオリをして前から後まですべてにピントを合わせ、更に絞りをF16まで絞りました。
ティルトアオリをすると、前から後までピントが合いますが、今度はその前後、このナイフの例で言うと、ナイフの厚み方向にピントが合わない部分が出てきます。商品撮影という設定ですから、厚み方向もすべて合うのが最善です。そのアオった状態でF16だと、まあ、なんとかナイフ全体に許容範囲内での解像感が得られます。
当然ながら、この写真はシャッター一発で撮られたもの。
クライアントチェックに出して、NG食らってもそこからすぐ修正して、更に修正した画像を見せるのも短時間ですみます。
さらに良い点は、、、
上の画像をよく比較して頂けると分かるのですが、フォーカススタックの画像では置いてある板の木目までシャープに写っています。木目で疑色が出ているくらいとんでもなくシャープです。
反対に、シフトレンズを使った例では、木目までピントが合っていません。
この例ではあくまでも商品はナイフ。下の板ではありません。
つまり、、、
ナイフだけシャープならそれでいいのです。
むしろ、下の板までピントが合っていると、後々、余計な作業が入ります。
ゴミ取りですね。
商品に付いているゴミはもちろんレタッチしますが、背景のゴミのレタッチは出来ればしたくない。だって、関係ない部分ですから。でも、見た目が悪いので、納品データとしてはレタッチせざるを得ない。その時、木目までシャープに写っている画像では、当然、ゴミまでシャープです。
アオリレンズで撮られた画像は、そこまでピントが合っていませんから、レタッチ作業は非常に楽になります。
これが仕事で写真を撮るときには撮影だけではなく、納品までトータルでの「時間」を考えるポイントになります。
続く・・・
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